MOEKO

この世界の片隅にのMOEKOのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.3


すずという1人の女性の暮らしを丁寧に描くことで、
あの当時きっと広島に、呉に暮らしていたであろう「普通の」人々のなんでもない日常と「戦争」を考えさせられる。すずは私であり、あなたであり、そしてすずが生きた時間は特別ではないけれど、とても美しい。その美しくて愛おしいこの世界に、淡々と戦争や破壊や別れが忍び寄る。


かけがえのない個人が、それぞれの生活の中で感じる思いや実感が、胸にきた。


原作にあった、すずが8月15日に掲げられる太極旗を見て泣きながら言った
「暴力で従えとったということか、じゃけえ暴力に屈するのか」という台詞はいれてほしかったなあ。すずにしか語れない、すず自身が自分の生活の中で感じた、戦争の実感があの言葉にはこめられていたと思うから。

元々原作が大好きで、映画もとても良かったです。何度も何度も色んなことを思って泣きました。
漫画で読むより、「私にとっての戦争」がより多くの人に伝わりやすいと思う。1人でも多くの人に観て欲しい。
のんちゃんの声は最高でした。
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