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この世界の片隅にのメグのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.8
今年一番泣いた映画をあげろと言われたら別の映画。でも、映画が終わって外に出ても泣いたのはこの映画だけでした。静かに後から感情が湧いて出るのです。

「戦争という特殊な生活」がある訳ではなく、「普通の生活に戦争という特殊事情が割り込んで来る」。
穏やかな日常生活の描写を積み重ねることで、じわじわとそのことに気付かされます。特に、当時の衣食住が細やかに描かれていて、だからこそ、これは「私たちと地続きの人達のお話なんだ」と実感できます。もっと言えば、私のおばあちゃんのお話なんだと。
映画館を出てからも涙が止まらなかったのは、映画館の外が平和な日本だったからです。
今ならすずさんはきっともっと自由にたくさんの絵を描けただろう。
ほんの60年違うだけで、こんなにも違ってしまう。
日本にはたくさんのすずさんがいる。
私たちはこれから先すずさんがずっと絵を描いていられるような世界を作らなきゃいけない。
そう思って帰途に着きました。

すずさんの大人になりきれず、でも大人になるしかなかった感じがのんちゃんの声や喋り方によく合ってました。この役に出会えたのはのんちゃんにとっても作品にとっても幸せですね。
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