ベンジャミンミン

この世界の片隅にのベンジャミンミンのネタバレレビュー・内容・結末

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2回鑑賞。
小噺のようなオチのつく話が食い気味で詰められる日常のコメディが物語の多くを占める。そして、そうであるからこそそういった日常が二度と取り戻せなくなる(あるいはそれに加担してしまう)究極の象徴として戦争が降りかかってくるのである。したがって戦争映画である意味はあるのだが、戦争でなくとも私たちに当てはまる普遍性があり、ゆえにこの映画は強靭なのである。
そして、そういった絶望でもまた、生きていくのである。すずさんは単なる右手以上の右手を失ってしまったが、ラストではその失った右手を介して新たな繋がりが紡がれていく。絶望の中で芽吹く希望もあるのだ。