ピーポの弟子

この世界の片隅にのピーポの弟子のレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0
ふつうでええのぉ、という台詞が印象的だった。
戦争経験者や被爆者の方に話を聞く機会が多いが、その方々は口々に「あの日に私は昨日の私から違う人間になってしまった」と言う。私、が私を保てなくなるというのが如何に惨たらしいことか、普通とはなにか、ということを普通の目線で語っている良作。いわゆる戦争映画とは一線を画しているので戦争映画が苦手な人にこそ観て欲しい。
トランプ大統領の就任翌日に広島で被爆した知人の方にお会いした。
「僕は昨日眠れずに報道を見ていた。とんでもない社会になったと、溜息が出る新年だ。だけど、この世界の片隅にという映画ができた。それだけは2016年の救いだ」とお話しくださった。

世界中で続く紛争やあらゆる脅威の中に生きる、私たちのような普通の人達の普通の暮らしや家族との会話、大切な人と繋ぐ手、そういったものに目を向け想いを馳せることを忘れたくない。