りほこ

この世界の片隅にのりほこのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.6
夏なので、戦争にまつわる映画を観たいと思って観ました。

絵がとても柔らかくて、のんちゃんの声も"のんびり屋のすずさん"にすごく合っていた。
戦争という荒波に揉まれて、その場に居れない居たくないどうしようもない悔しい思いをしながら、優しく強くなっていくすずさんは所謂"良妻賢母"の鑑。
印象的なのは、お義姉さんから"あなたは自分で選択できない人生だったから、不憫に思う。自分がどうしたいか考えなさい"と言われた時。自身で結婚相手を決めて、事業に失敗して出戻りをしたお義姉さんと、家族に言われるがままお嫁に出て、知らない土地"呉"にて知らない家族と住むことになったすずさん。世間から見て、お義姉さんは可哀想な人(残念な人)と思われてしまうご時世ではあったが、自分で選択せずに周りに流されるままのおすずさんの方がよっぽど可哀想に感じる。
自分で選択"出来ない"時代だったからこそ、予測も出来ない悲しい出来事があった時誰のせいにも出来ないしどうにもならない。自分で責任を取ることができたら、まだどんなに楽か。
悲しくも温かいお話。
りほこ

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