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この世界の片隅にのRingRingLoveのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.0
こんなにも優しくあたたかく牧歌的な戦争映画はあまり観たことがない
戦前戦中の広島で過ごす主人公すずの日常は、明るく楽しく起伏に富んで、状況は違えど現代に生きるわたしたちとなんら変わることはありません
淡々と過ぎていく日常の中で、けれど戦争の不穏な影は確実にすずたちのすぐそばにまで、ひたりひたりと近寄ってきます

仰々しい演出もなければ奇をてらうような大袈裟な展開もない
ただただすずの人生に優しく寄り添う作品です
でも、だからこそ深く胸を打つし、観終わったあと、この世界の片隅に住まう自分の生活がとても愛おしくなりました

「過ぎた事、選ばんかった道、みな、覚めた夢とかわりやせんな」

作中、今の生活が夢かもしれないから覚めるのが怖いとつぶやくすずに、夫の周作は語りかけます
もちろんこの時点ですずはこの後に待ち受ける現実など思いもよりません
それでも当たり前に日々は過ぎていくし、過ぎ去ったもの選ばなかったものは覚めて終わった夢と同じ価値しかないのです
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