ただ、戦争はダメだと訴えるだけの反戦映画ではないところがいいですね。当時の情景もよく伝わってくる。それでいて、重くなりすぎず、わりと大衆にむけられている。
とにかく、のんさんのナレーションと声優っぷりにグッと来ました。あの声の温かみと、怒った時のどこにもやり場がない怒りの表現、最高でした。ことばだけで、「言葉だけでは伝わらないこと」を伝えるのが、圧倒的にうまい。とくに、ナレーションで主人公すずの声がオーバーラップされるところで使われる詩的表現の言葉のしなやかさ、それを表現する力がすごい。
時限爆弾が爆発し、辺りがシロクロの世界に包まれ、鉛筆画で表現される時も、間が効果的に使われている。少し長いくらい、画面が真っ暗になる。その間で、観客を引き込む。説明をしないのに、誰にでもわかりやすいあのシーンは結構お気に入り。