ももはる

湯を沸かすほどの熱い愛のももはるのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.5

10月の終わりに、今年一番の作品でした。


映画館を出て、電車に揺られていても、駅から自宅まで自転車をこいでいても、ずーっとこの映画のことを考えて引きずっていました。
強くて優しい愛の2時間はあまりにも巨大なパワーを孕んでいて、鑑賞後の脱力感と余韻に、浸らざるを得ない。たまらない幸福。

内容に関しては「いいから見て!!!」としか言えないのですが、物語の流れ、人生を描く熱量、兎に角120分間の厚みがすごいです。
キャスティングも素晴らしい。
ダメダメなのにどこか憎めない父親役をやらせたら、オダギリさんの右に出る者はいないのでは…と思います(「奇跡」での父親役が個人的に大好きです)
実際に、物語の人々があの銭湯で呼吸をし、飯を食べ、生きているのだと感じてしまう程、バラバラなのに共通の空気が流れているようでした。

途中のファンタジーな流れと、画面の暗さが気になりましたが(批判ではなく個人的に忘れないように書いておきます)、総合的にみても、抜群に良かったです。

初日に地元の映画館で鑑賞しましたが、ご年配の方が多く来られている印象でした。
親子のやりとりに思わずふふふと会場が温かくなったり、鼻をすする音が聞こえたり、非常に濃密で素敵な空間だったことを忘れずに追記しておきます。

お母ちゃんに、真っ直ぐに力強く抱き締めてもらえたら、生きる力が湧いてきそう。
同じ女性として、あんな風には絶対なれないと思ったけれど、熱い愛を惜しみなく捧げる人間になりたいなと思いました。

泣ける、という推し方でお勧めはしたくないですが、久しぶりに嗚咽を堪えられないほど泣きました(笑)
ハンカチを忘れてしまったので、それはそれは大変でした。
きのこ帝国さんの主題歌もこの映画にぴったりでした。それでいてきちんと自立していて、エンドロールをぼーっと眺めながらまたおいおい泣いてしまった。


是非沢山の人に観て欲しいです。