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湯を沸かすほどの熱い愛のBFのネタバレレビュー・内容・結末

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

「親の心子知らず」
とはよく言ったもの…

冒頭から終盤にかけて、どこか違和というかすっきり染み込んでこない感じがありました。
要素としては在り来たりなんです、余命が残り僅か、家族のあり方、残りをどうやって過ごしていくのか…しっかりした母親に、だらしない父親、思春期に苦しむ娘…

(ちなみに娘たちの演技は素晴らしかった…)

そうした要素の中で、今までの僕は邦画というと、是枝監督然り、とてもナチュラルな世界観や描写の中で心に染み込んでくるものがあって、感銘を受けて、心動かされてきたんです。

なのに、この映画は違う…やたらと熱い。
宮沢りえが熱すぎる…おかあちゃん!!!

母の愛の強さ、形なんて、家庭によって違えば、受け取る方によっても捉え方は変わるし、本当に様々だと思います。愛の伝え方も、例えば「優しさ」に括ったとしても一言では語れない。

宮沢りえ演じる、おかあちゃんの愛情というと、もうそれはそれは真っ直ぐすぎるくらいに熱くて、それは腹が違えど、ましてや他人に対しても、これほどかと正面からやってくる。だから気持ち悪いんです、なんか現実的な世界観からずれていて、もはやファンタジックというか。それ故かすぐそばに寄り添って来るような、自然派な愛と少し違うような…

途中で泣かせに来るような演出や言い回しなんかもあって、平日の劇場でも嗚咽があちらこちらから聞こえてくるほど。
ぼくはウルっとくるものの、「海よりもまだ深く」を観た時のような心底響いての号泣はやってこない…

しかし、ラストにやってくるんです。
もうぼくは、途中予感したあたりから映画の新しい見方というか、道を開いてくれたような、清々しく、晴れやかな気持ちになりました。

誰かを愛する愛情は、それを「受け止め返す」相手がいてこそ、成り立つんだな…と。
そんな強く熱い愛、「湯が沸くほどの熱い愛」を、全身で感じてくれる家族がいる。


ご飯を愛情こめて作ったって、必死に勉強や常識を教えたって、一方的なら親の愛情止まり。だけど、その愛情を知ったとき、余りにも強すぎる愛に一瞬うろたえてしまうけど、たしかにそれは伝わって、ますます大きな愛になっていく。

そんな「当たり前」のことですが、改めてこの作品の愛の伝え方に、とても感動を覚えました。ラストは納得させられた…。


気になったら見て欲しい映画だな〜



以降、追記にネタバレ…注意。


娘がカレーを作るシーン。
母がいなくなって娘がカレーを作るんです。ゆっくりかき混ぜて、味見して。
でも、その点数は50点。焦げちゃうんですよ。
もうそれが個人的には好きすぎるシーンで…姉妹で番頭変わる際に、姉が妹に伝えるんですけどね。もう、その愛に溢れた感じが…愛情こめると焦げちゃうんだなって…母のエプロン付けてさ…勝手に解釈して感動してました。
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