キンキン

湯を沸かすほどの熱い愛のキンキンのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
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 主題歌は、きのこ帝国。劇中は音楽を多用しておらず「何故、ノイジーなシューゲイザーのバンドを器用したのかな?」と違和感を感じていたのですが、結末で腑に落ちました。ゆっくりゆっくり温めていっては「沸騰」すると言う事が、ギターを掻き鳴らす曲とマッチして見事!んで、銭湯の女主人を主人公にしたのも、逆ロードムービーのようで出会った人々を次々に温めていく存在として描かれていて、納得。暖かくて優しい映画でした。

 ただ、ちょっと分かりやす過ぎて「ここ泣くポイントだな。」ってのが多々あって気づいてしまうのが少し冷めた。以前鑑賞した、「沈まない三つの家」でもありましたけど、中野監督は涙など体から出る「水」によって心を浄化する意味合いを表現していて、それが本作でもよく出ていて子役で使うのがずるい。だけど、心の奥底から頑張って声を出してる様子にはなんだかこっちもお母さんみたいな気持ちになるし、目に溜まる涙をゆっくりと見せているから吸い込まれそうで話に入り込んでいった。
 また、食事のシーンを大事に見せているので、思い出すんですよ。母親が作ってくれた料理を。味を。冒頭に髪のお団子を作っている部分も、余命わずかの母がしてくれた優しさの一つとして深く残っていきます。

 なんで、宮沢りえはこんなに人になったのかな?と思ったんですけど、過去に秘密があったんですよね。与える側という立場になる事で乗り越える。胸が締め付けられました。
 本作で今の宮沢りえを母親役として映画に残したのは、今後彼女の作品を振り返る上で大きく取り上げられるのではないでしょうか?10代でヘアヌードの写真集を出した美少女も、マザー・テレサのような偉大だった絶対の優しさを持ってた人もいつかは死ぬんですよね。だから、顔のメイクも抑えていたのか老いも感じて、時の流れってのは儚くて切ないと思いました。
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