TakahiroMiyashita

湯を沸かすほどの熱い愛のTakahiroMiyashitaのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.8
とてもよい。
日本映画のよさ詰まってた。

セリフ前後の表情と間。侘び寂びで見せる一瞬の間。たかが一呼吸が必要なんよなあ。その一呼吸が積み重なって、登場人物の人柄が浮かび上がる。心情が徐々に近づいてくる。感情移入の扉が開く。


"思いやり"がこの映画の一つのテーマなんかなと思った。

人の心を慮ることって簡単なようで難しいよね。一口に思いやりって言っても結局主観の話やし、受け取る側によってはお節介やったり。

世の中には言葉とか動作で形にせんと伝わらん人がほとんどで、そんな心の距離感で振りまく思いやりには、醜くて余計なもんがくっついてたりして。

でも、家族とか友達とか恋人とか、形にせずとも伝わる距離感にいてくれる人達もいるわけで。
その距離感なら真っさらな思いやりを届けることができるはずなんやけど、その距離感だからこそ忘れがちになっちゃうってのも悲しいところで。

この映画は関係性が複雑すぎて、それぞれの距離感が近づいたり離れたりする。
心の距離に溝が空きそうな時、ちゃんとその人と向き合うだけでも、向き合おうと思えるだけでも、大いなる思いやりと言えるんでは。

ガン宣告を受けてから、夫のこと、娘のこと、自分のこと、おざなりにしてた全てと向き合って、力強く生き抜いた母・双葉の姿には、人を思いやることの大切さと、自分に生きることの素晴らしさが詰まってた。

と言いつつも、最後の方の演出はややシラけたな。。
総合的には大満足でした。
TakahiroMiyashita

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