末期癌が発覚したシングルマザーが、死を意識することで生を燃やし始める。
非常に評価が難しい作品。
まずラスト以外の脚本はかなりつまらない感動ポルノ。強い女性が弱っていく様をこれでもかと見せつけてくる内容もただただかわいそうで見てられない。また湯を凍らすような寒い感動描写が多い。
演技については、演技派の俳優陣をあつめているため、皆さんそれぞれの味があり非常に良い。良くも悪くも宮沢りえの演技は迫真で本当にかわいそうになってしまう…。
そしてラストである。
カニバリズムを丸めたような描写はいい意味でこの映画の流れにふさわしくなく、この描写によりこの映画は全く別の物語になる。
血の繋がりのない家族が、
湯を沸かすほどの愛の儀式を経て、
彼女の遺伝子を取り込み、
ついに血の繋がった家族になる。
ここにきて娘の安澄が言ったセリフ
「お母ちゃんの遺伝子ちょこっとだけあった」
が効いてくるのである。
今までの寒い感動ポルノはここに至るまでの壮大なフリであるならばすごい監督である。