花波

顔のないヒトラーたちの花波のレビュー・感想・評価

顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)
3.5

息が詰まるような苦しさを、ずっと感じ続けるような。『サウルの息子』で観たこの世の地獄を思い出して、あれからたった十数年で穏やかに暮らす人々に吐き気さえ覚えて、でもこれが人間の本質だということにも頭のどこかで気づいていて、わたしも ″顔のないヒトラー″ に成りえたのかもしれないと思って、余計に胃の底から嫌悪感が昇ってくる。


知らないことは罪ではないか。
知ろうとしないことは、罪ではないか。
あれからたった70年余り。同じことを繰り返さないとは限らないこの世界を、とてつもなく怖いと思う。だって環境さえ違えば人間は、悪魔にさえなり得るんだもの。どんなに善良に見えても。


面白いとか面白くないとかそんなんじゃなくて、人生で一度は観ておくべき映画。
花波

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