MasahiroOhta

バンクシー・ダズ・ニューヨークのMasahiroOhtaのレビュー・感想・評価

4.3
一昨年かな、シネマライズで「イグジットスルーザギフトショップ」を大笑いしながら観て、シネマライズが閉じてしまった今年、お向かいのシネクイント(ここも閉じちゃうんだけど)でこの作品を観るというのも感慨深い。

イグジットスルーザギフトショップは極めてメタ的に表現していたアートとカネの話が、今作ではドキュメンタリーとして直接的に表現されている。
ストリートアートの発祥の地であるNYをキャンバスに、1ヶ月間、インスタレーション的に作品を発表し続けるバンクシーと、それを追いかけるファンや批評家、キュレーター、ストリートギャング、そして一般市民。
面白いのは、「人々が騒ぐことを含めて作品」と言うのが作者本人ではなく、批評家やキュレーター、そしてファンや一般市民である、というところ。非常にメタ的で、普通のアーティストと違う部分なんだと思う。

そして、作品と絡んだカネの話。
ファイブポインツという、グラフィティアートの聖地のようなエリアの再開発がこの作品の1エピソードとして挟み込まれる。
エリアを保存したい人々も再開発したい人々も、最終的にはこの街が将来的にどう盛り上がるか=カネを生むかを考えていると思うんだけど、ことほどさように、純粋にアートを観て楽しむだけ、というのはあまり今日的ではないのかなと感じる部分もあった。
また、ここしばらく観てきたサブプライム~リーマンショック関連の作品や「インサイドジョブ」、そしてウルフオブウォールストリートといった「お金に振り回される世界」の話にも通じるものを感じた。

何にせよ、バブルってコワイ。
MasahiroOhta

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