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白い犬とワルツをのtarotaroのレビュー・感想・評価

白い犬とワルツを(1993年製作の映画)
4.5
原作本は、中学時代から大好きで何度も読んでいました。

原作でのサム・ピーク(主人公)の人物像は、もっと神経質で孤独なイメージを勝手に抱いていた(子や孫たちとのやりとりや、日記の文章が多い小説だったため、とくに孤独な印象を受けていたのだと思う)。
しかし、映像では、小説で感じ取りきれなかった"表情"が豊かに映し出されており、
特にサム・ピークの笑顔からは溢れんばかりの愛情が滲み出ているのが印象深かった。
あの笑顔だけで、彼の人生の多くを語れてしまうと言っても過言でないくらい。

また、犬との演技がなんとも言えない。
表情、仕草、とくに重要なシーンでは、犬も立派な役者に見えてしまうほど。
存在感は確かなのに、静かで、自然で全くわざとらしさが無いのが良かった。

原作と違う表現は所々にあったが、
だからといって嫌な感じはせず、たった90分ほどの短い映像のなかの温かく穏やかな人生に
愛おしささえ感じる大好きな作品になりました。
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