Jonayama

残穢 住んではいけない部屋のJonayamaのレビュー・感想・評価

4.6
竹内結子、橋本愛がW主演するホラー映画。同名の小説を原作としているようだ。

ある作家が読者から募集した怪談話を作品に仕上げる企画をしていた中で送られてきた怪奇譚が思いもよらぬ形でその地にまつわる長きにわたる怨みに繋がっていく。

ここ最近はノリが合わなくなってほぼ観なくなっていた邦画だが久々の大当たり。
一見別々の怪談話が元を辿ると一つの話に行き着く展開や土地に残ってしまった"穢れ"をめぐりその歴史を紐解いていく過程、そして1人で家にいるのが怖くなるような怪異の描写など緻密で巧みな構成といい意味で日本的な湿度の高い恐怖描写や洗練されたカメラワークなど多くの素晴らしい要素が重なりとても質の高いホラー映画になっている。
特にホラーお約束のジャンプスケア(ビックリ演出)に頼らず何かがそこにいてジワジワとこちらに歩み寄ってくる感覚を表現している点は特筆に値する!

また本作は怪異の起こる際の風が通るような音やノイズのような異音、そして観終わっても尾を引く衣擦れの音など"音"にもこだわりを感じる。
突然デカい音が鳴るシーンはほぼ無いのでそこそこ音を大きくして鑑賞するとさらに本作の恐怖を堪能できる。
あ、後半橋本愛がビックリする声にビックリしたシーンがあったか(笑)


キャストも概ね実力ある人たちが揃っており安心して観ることができる。
特におじさんおばさんキャストの表情や台詞回しは見事。
個人的に好きな竹内結子のやたらテンションの低いキャラクター像は新鮮でよかった。やっぱり魅力的な女優さんだよな…どうか安らかに。

映画オリジナルらしい解決していない不穏なエピローグは賛否両論のようだが個人的には後味の悪い終わり方や曖昧な締めはホラーのお決まりに近いものだと思うので問題なし。"穢れ"の深さを思えば納得だろう。

「話しても祟られる 聞いても祟られる」ってのは怖すぎ。フィクションで良かった…
一人暮らし直後の夜には絶対観ないほうがいい稀に見る良質な和ホラーだ。
監督の中村義洋さん、お見事です。
Jonayama

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