mOjako

残穢 住んではいけない部屋のmOjakoのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

ミステリー的な構造が重要なホラーなのでなるべくネタバレは見ないで行った方が良いかと思います。

10/25東京国際映画祭にて一足早く鑑賞しました。んー基本的に悪くはないけど諸々のバランスだったり演出とか細かいディテールでハズしちゃってる気がします。
まず中村義弘監督がホラーに戻ってきたってところがこの映画の大きな売りなのは間違いないですよね。いわゆるJホラーブームの一端を担った人だし、その辺りのホラー映画的な文脈も踏まえた上で今回改めて現代にふさわしいホラー映画を作るってゆうところが作り手の狙いだったのではないかと。
で、結論から言っちゃえばその観点で見ると結構ガッカリしちゃいました。。小野さんの原作の狙いであり過去のホラー作品と差別化を図ってる部分はおそらくJホラーブーム以降消費され飽きられてしまった怪談や怖い話には実は相互に関連があって、主人公たちがそれを辿るミステリー的な構成を入れることで使い古された怪談話に新鮮さを蘇らせようってことなんじゃないかなぁと。そこはやっぱりフレッシュで少なくとも興味は持続するしお話的には過去作を乗り越えようという意欲を感じるのに、ホラー演出的な面であまりにも新鮮さや面白み、チャレンジを感じれなかったのが1番微妙でした。端的に言ってあんまり怖くないなぁと。今作では演出としてCGで人ならざる人ってのを表現しようとしてるんですが、そもそも小中理論的な演出って人が演じてるけど絶対にそれは人じゃないってゆうのを映像的に表現することを進化させてきたんじゃないですか。ホラーとミステリーのジャンルミックス+ちゃんと怖い往年のJホラー演出で十分新しい作品になった気がするし、CGでも効果的に使えば怖いのかもしれないですが今の映画界の世界的潮流から言っても幽霊は実写で撮るべきだったんじゃないかなぁと。とにかくあんまりJホラーの文脈が踏まえられてない感じがしたのは残念。演出的に1番いいなと思ったところは冒頭の布が擦れる音に橋本愛が怯え振り返るところで、まぁやっぱりオーソドックスにJホラー的な文法を取り入れてるところなんですよね。
それから細かいとこで微妙に感じたのは語り手にリアリティを感じなかったところ。この話ってそれぞれ場所や時代で生きてきた人たちの語る話を主人公が手繰っていく過程こそが重要で、それこそ実話投稿ホラーのほん呪を製作してた監督にぴったりの企画だったと思うんです。なのにそれぞれに見たり、聞いたり、体験したりしたことを語る人たちに実在感を感じなかったというかテレビのホラー番組の再現ドラマぽく見えちゃって。こうゆう細かい演出やキャスティングのバランスで微妙にハズしちゃってることが怖さを削いでる部分も大きいように思いました。
それとラストの展開。知るだけあるいは関係しただけでも呪われて死ぬんですよね。なのに実際ちゃんと殺されるシーンをちゃんと見せられるのは超脇役だった編集者とマンションの住民。まぁ一応竹内結子には電話がかかってきてましたが、なんでそれ以外のディープに関わった人達の顛末を具体的に見せないんですかね。時間の問題なのか俳優の契約上の問題なのか?とか邪推もしたくなる。はっきり言って観客は足を踏み入れちゃいけない領域に踏み込んでしまった主人公たちの末路を見にホラー映画に行ってるんじゃないですか。その点はものすごい消化不良でした。

チャレンジしてるとこがないわけじゃないし、本気で怖がってる方もいたのでね。橋本愛はかわいいし竹内結子は素敵だったし、何より音の演出は劇場で見るのが1番なのでとりあえず見に行ってみるのが良いかと思います。
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