ぶみ

残穢 住んではいけない部屋のぶみのレビュー・感想・評価

3.5
小野不由美原作の同名小説を、中村義洋監督、竹内結子主演で映像化したミステリ・ホラー。
竹内演じる怪談小説家の主人公のもとに、橋本愛演じる大学生から「部屋から奇妙な音がする」とされた手紙が送られたことを発端に、その音の正体に迫っていく姿を描く。
現代において、市街では区画整理等が進み、町名を始めとした地名が再編されることがあるが、再編される前の旧地名、旧字名は、案外その土地の地形や謂れを端的に表しているものが多い。
そのため、土地を購入したり家を建てたりする際に、その場所を知るために過去の地名を探ることは有用な手段。
他にも、自治体の歴史資料を調べたり、過去の地図を紐解いたり、古くからその地に住む人に話を聞いたりすることは往々にしてあること。
閑話休題。
本作では、音のする部屋のマンションが建つ土地の過去を探るにつれ、次から次へと連鎖するように過去が解かれていく様がまさにそれであり、ミステリタッチでテンポが良い。
作品自体は、直接的な表現で怖さを訴えてくるものではなく、全体的な雰囲気で怖さを助長させ、深層心理に訴えてくるもの。
であるが故に、他のユーザーさんがしばし書かれているように、一歩手前で終わらせておけば良かったものの、ラストシーンのおかげで全てが台無しになってしまった印象は否めない。
滝藤賢一や佐々木蔵之介といった個性派が脇をしっかりと固め、ジャパニーズホラーとしての完成度は高いが、とにかくラストが惜しかった一作。

あなたが住む土地の、昔の名は何ですか。
ぶみ

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