ちんねん

ハッピーアワーのちんねんのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.5
ずっと大事にしたい映画。無人島に持っていく映画って言われたらこれ持っていくかも、っていう意味において。
 小津風の演出・絵が好き
 街を写し、周囲のノイズが入りまくるのが好き
 物語としてもしっかり好き

ラストの後ろ姿と街、海は頭に染み付いている。
このシーンで終わってくれ、そのまま世界よ続いてくれ、というラスト。リップヴァンウィンクルの花嫁以来。
やっぱ映画っていいな、って。

5時間強終わっても、まだまだ見ていたい。まだまだ生きていきたいように。

単調に思える描写でも時折にじみ出るかユーモがたまらない、
ずっと見続けているがゆえに湧く親近感・馴染みゆえににじみ出るようなユーモアもあり、
ジャームッシュ見てるときと近い感覚。

見終わって、僕が「やっぱり好きやぁ」って思ってる人が3人ほど浮かんだ。少しアクションを起こしてみたくなって、ほんとうに肘でつくくらいだが、起こしてみた。
素直にさせてくれる映画。

映画を見てるとロジックに入ってしまいそうになる僕の癖を、気持ちよく破壊していった最後の打ち上げのシーン、生身のポリフォニー的空間。

演出、すごい好きなのが多かった。
小津風の正面カットは、こんなにも効くんだって。

尺の長さ、時間を切らない長いシーン、これがもうたまらなくて中毒になりそう。自主映画作れって言われたら尺長くしてまいそう。

何よりも街が、風景が、人々が、映ってるのがほんとに好き。
それに加えて主役および女優が「普通の人」っていうのと合わせて、(あと関西の知ってる街、っていうのは大きいかも)
ほんとにそこにいる人この街感ある。
ロケ撮影、ノイズ入りまくり、これ好きやわぁ、って。 ノイズ中毒なりそう。
バスで純が話している揺れたシーン、話し相手の女性のシーンは大好きなシーンの一つだが、その女性の背後に写ったマンション掃除の人の後ろ姿は最高。

三部は結構重たく、ずしずし響いてくるものもあった。 こんだけストレートに踏み込んでくる映画ってあんまり見たことなかったなぁ。
ともすれば仕事のほうに行ってしまいそうな僕だけれど、性愛・対人のほうをおろそかというか億劫になって避けてしまいがちなんだよなぁ。
(宮台真司が「社会」と「性愛」を対置させてたのが、やっとなんとなく掴めた気がした)
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