菩薩

ハッピーアワーの菩薩のレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
1.0
昨年、見事キネ旬ベストに輝いた『恋人たち』が、自分にとっては完全にワーストだったわけで、いよいよ世間一般との完全なる価値観の相違に、登場人物以上の生き苦しさを痛感させられる羽目になったわけですが、同系列の匂いしかしないこの作品、やはり自分にとってはまったくもってハッピーなアワーではなかったです。

話す、見る、聞く、察する、考える、伝える、総じてコミュニケーションの重要性を説くのであれば、わざわざ5時間も裂いて描くようなテーマでも無いと思うし、非職業俳優達が自然に振る舞おうとするが故の不自然さと、必要以上の説明台詞の羅列(それが売りなんだろうけど)と棒読みには完全に辟易するばかりで、苦痛でしかなかった。

曖昧なままにしておくが故に円滑に進む人間関係というものに対して、この作品は多少の異議を唱えたいのかもしれないが、例えばこの作品は三部構成でチケットも三枚、かついちいち入れ替え制をしかれる。皆口々にそれに対し不満を述べていたが、かと言って直接それを劇場スタッフに訴えたところでシステムは変わらないだろうし、そもそも入場が更にごたつくだけであると容易に想像できる。そういった、内なる思いを秘める方が得策な場面の方が人生では多分にあると思うし、そもそも、あぁずけずけと我の正義を宣うくせに、友人の不倫に対しては一言の苦言も呈さないうえに、旦那に責任を被せ、かつ裁判を傍聴する人間の気持ちはまったくもって理解ができない。

妊娠のくだりについてはお婆ちゃんが代弁してくれたからよしとするも、コミュニケーションの究極系がセックスに行き着いてしまうのも安直な気がする。不倫にしろ、望まない妊娠にしろ、何故いつも性の領域においては男性:加害者、女性:被害者として扱われるのかはなはだ疑問である。

三部の朗読会なんて、面白くもなんとも無い小説を30分以上延々と聞かされるわけで、ヘッドホンで聴覚を遮断した観客の気持ちが痛いほど分かる。


とまぁ、言い出したらキリが無いのでここらへんで止めておきますが、『恋人たち』といい、とりあえずこれ以上素人俳優を持ち上げるのは、いい加減やめて欲しい。