ブラックユーモアホフマン

ハッピーアワーのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.7
しんどぉ……生きるのしんどぉ……しんどすぎる。逃げ場がない。

『寝ても覚めても』の濃度そのまま5時間続く。その膨大な情報量を一度観ただけでは当然受け止め切れてない。

第二部が終わったところで、ここで終わりでよくね!?と感じて、第三部が始まった時もう脳みそが物語をこれ以上欲していないという今までに味わったことのない感覚に襲われた。飽和量を超えた。

そして第三部、つまり全体の終幕を迎えたとき、これで終わりかよ!?と尻切れトンボ感を感じた。矛盾してるようにも思えるけどそうじゃない。要はこの話、永遠に続けられるんだ。だって人生は続くのだから。だからどこでも終われたし、どこでも終われない。地獄は既に始まっていたし、そしてまたここから始まるんだ。

濱口さんはよくこんな映画作って正気でいられるな。どんなメンタルしてんだ。

ただしこの映画は誰のことも裁かない。いやむしろ、全員を平等に断罪する。悪くないやつはいない。産まれたからには清廉潔白などあり得ない。故に逃げ場がない。

言葉を選ばずに言うと、死にたくなった。もう、生きるのやめたくなった。

女性陣の言葉にも共感する部分があるし、男性陣の姿に自分を見て嫌にもなった。
男は頭でっかち。全員のサイコパスみが凄い。

裁判のシーンがあったけど、そこが一番通常のドラマ映画と同じ演出に見えた。要するに全シーン裁判みたいな映画だったのだ。検事の言葉も弁護士の言葉もどっちも聞いててしんどい。

僕は今まで人間らしい生き方をしてこなかった気がする。そしてもうそういう人間になってしまったので治しようもない気がする。どうすればいいんだよ……八方塞がりや……

人生が詰みゲーであるということをまざまざと見せつけられ続けた5時間でした。

映画制作上の技法的なところにまで注目してられる余裕はありませんでした。とにかく喰らいまくった。ぶっ倒れそうだ。

人間の脳に搭載されている便利な忘却機能を使わせていただきまして、明日からも正気で生きていきます。寝ます。
(昨日観た『マトリックス』で言うところの“青のカプセル”を飲んだということで……。)

【一番好きなシーン】
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