このレビューはネタバレを含みます
宣伝文句の“武侠アクション超大作”として見ると肩すかしを食らう。実際は「錦衣衛の下っ端たちの人間ドラマ」がふさわしい。武侠映画につきものの妖術アクションやワイヤーアクションがないし、主人公の錦衣衛三人組の描かれ方も「ヒーロー」としてのそれではない。
沈煉の「取引」が物語の転換点だが、実は魏忠賢殺害のため選び出された瞬間から彼らの運命は決まっていたことが、映画の最後に分かる。しょせん「虫けら(映画の中で悪役が彼らをそう称する)」である沈煉の取引なんて何の影響もなかったという、乱世に翻弄される下っ端公務員たちの悲哀がこの映画全般を貫いている。