Iri17

NIGHT SAFARIのIri17のレビュー・感想・評価

NIGHT SAFARI(2014年製作の映画)
4.5
不良のアホなケンカの話で、真偽不明のレイプ容疑で1人の少年をボコボコにした事から、相手サイドにやり返されるという王道ケンカムービーである。

しかし流石は小林監督、ケンカを主軸にしながら、現代社会全般に通じる利用するものとされるもの、操るものと操られるものという関係性がバックグラウンドに存在している。

このアホな不良たち、全て「先輩」なるものからの電話で行動している。真相はわからないが先輩がやれというからボコる。先輩は画面には出てこない。目に見えない上からの存在の意のままに動かされる。これが戦争の本質であり、ポストモダン的な現代資本主義の本質である。

話は少し逸れるがイギリスのロックバンド、ミューズのDronesというアルバムのジャケットは戦争で人を殺すドローンとそれを操るもの、そしてその操るものを操る存在が描かれたものであるが、この映画の不良たちはドローンであり、先輩が「操るもの」、もしかしたらさらに先輩を「操るもの」がいるかもしれない。結局、戦い、傷付く不良たちはナイトサファリの庭の中で飼われている獣と同じなのだと思う。

完全に当たっていないケンカシーンや、ケンカばかりしている不良達が母親にどつかれるシーンは笑える。
ほぼ自主制作でありながら、このような作品を作ってしまう、小林監督の技量には脱帽。
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