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カミーユ、恋はふたたびのはなのレビュー・感想・評価

カミーユ、恋はふたたび(2012年製作の映画)
2.8
ファンタジックな人生やりなおしストーリー、と見せかけて実はやりなおしをする話ではなく、映画全体のテーマである「変えられるものを知る勇気と、変えられないものを受け入れる心の平静、そしてその違いを知る知性」を手に入れるはなし。
てっきり何かを”やり直す”ために過去にいくのかと思いきや、カミーユは愛や友情の儚さを知ることになる。未来を曲げるようなことはせず、過去の自分に身を置くことで、”知性”を身につけたカミーユは40歳にして考えを新たに前へと踏み出していく。
過去の偉業や醜態、家族や友人、自分に起こった全てのこと、周囲の全ての人々で今の自分がある。一度、過去の自分に立ち返ってみると今と戦うヒントが隠れているのかもしれないな、と。

ノエミ・ルヴォウスキーの魅せる16歳の姿は序盤「きっついな…」と思うものの、慣れてくれば「あれ、かわいいかも…」と思う瞬間も。キツさ、イタさ、おばさんらしさをきちんと出している気持ち入りまくり(監督・脚本・主演!)な体当たり演技は流石だった。
カミーユの親友・ジョセファの強さと繊細さを併せ持った美しさはずっと見ていたかったほど。ジュディット・シュムラに出会えたことがこの映画の一番の功績。

中盤からラストにかけて、カミーユが何をしたいのかがよくわからなくなってしまい、徐々に物語に乗れななくなってしまった。先生の立場を考えると「カミーユあまりに身勝手すぎないか?」とも。
タイムトラベルものはつっこんでいくとキリがないのでここは目を瞑るべきなのかもしれないが、そっちの過去が存在しているならこっちの生活はなかったことになっていなくてはならないのでは…という疑問が浮かんでしまい、オチがなんだか腑に落ちず。

マチュー・アマルリック目当てで鑑賞したもののマチューの出番はワンシーンのみ(メタボ変態教師役)。ただ、笛を「ピーッ」と吹く姿は破壊的にかわいいので一見の価値あり。
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