かたゆき

COP CAR コップ・カーのかたゆきのレビュー・感想・評価

COP CAR コップ・カー(2015年製作の映画)
3.0
ガキども、お遊びはそこまでだ――。
うだるような熱気に包まれたアメリカ南部のとある田舎町。
貧しい家庭に育つハリソンとトラヴィスは、どこに行くのも何をするのも一緒の悪ガキコンビだ。
ある日、いつものように家を飛び出し森の外れを歩いていた彼らは、そこで何やら見慣れないものを発見する。
一台の無人のパトカー。
車内はもちろん、周りを見渡しても持ち主の居る気配はない。
恐る恐るドアを開け、車内を探ってみた二人はそこにキーが残されているのを発見するのだった。
「大丈夫。車ならマリオカートで何度も運転したことある」
少年たちの危なっかしい運転で、パトカーは危険な荒野を走り始める。
一方、車の持ち主である保安官はそのころ、秘密の仕事にいそしんでいた。
トランクから運び出した誰かの死体を古井戸に捨てるために悪戦苦闘していたのだ。
何とかやり遂げ戻ってきた保安官は、当然のようにそこにあるはずの自らのパトカーが盗まれたことを知る。
悪ガキコンビが運転するパトカー、そしていろいろとヤバい事情を抱えた悪徳保安官。彼らの決死の追跡劇がいま、幕を開ける……。

アイデア勝負のそんなクライム・スリラーなのですが、この全編に漂うとち狂った雰囲気、なかなか嫌いじゃないですね~。
パトカーを奪う少年二人もどうしようもない悪ガキで自業自得だし、対する保安官もまた同情の余地のない悪人、こいつらがどんどんと暴走し破滅へと一直線に向かっていくドラマがけっこう丁寧に描かれていて、僕はぼちぼち楽しめました。
車内にあった銃で遊び合う少年たちにひやひやさせられたり、頼りない靴ひもで他人の車を盗もうと悪戦苦闘する保安官にニヤリとさせられたりと、合間に挟まれる細かいエピソードがどれも考えられていて、最後まで飽きさせない工夫が凝らされているのもポイント高いです。
クライマックスへと向かうにつれ、どんどんと血腥い展開となるのになんだか変にカタルシスがあるのもいいですね。
彼らのチェイスを横目で眺める牛たちののどかな映像が個人的にツボでした。

まあ突っ込みどころは満載だし、最後のオチの投げっ放し感も酷いけど、けっこう面白かったです。
監督はこの後、スパイダーマンの新シリーズの監督に大抜擢されたとか。
うん、今から楽しみにしとこっと。
かたゆき

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