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タンジェリンのwantaroのレビュー・感想・評価

タンジェリン(2015年製作の映画)
3.4
社会的底辺たちがクリスマスのロサンゼルスを舞台にお戯れ。
別荘(ムショ)から出てきたばかりのシンディーが、留守中のカレシの浮気を聞きつけて、相手の女を探し回る。そんなストーリーだけなのだけど、底辺も人間なんだなぁとじわっとわく親近感。
主要人物の特性は、性的マイノリティーの黒人、娼婦、チンピラ、おまけに移民の警察官とその家族。
シンディーが娼婦を裸足のまま市中引き回してボコして、結局はなんとなく仲間っぽくなってる底辺マグネット。一緒にクスリ決めちゃえば、ねえ、立場は変わらんばい。

どうしようもない人たちなのだけど、温かさと寂しさが入り混じって、妙に人間くさい。
こういう人たちになったらいけないよという警鐘でもなく、こういう人たちはクールだと叫ぶわけでもない。底辺が底辺同士で揉めたり困ったり助け合ったり、人間の優しさや感情が妙に愛おしい、そんなとある夜の映画。

好きでもないけど、嫌いじゃない?
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