LuckyMOTOMIYA

カットバンクのLuckyMOTOMIYAのレビュー・感想・評価

カットバンク(2014年製作の映画)
3.5
2014年、マット・シャックマン監督によるスリラー・ドラマ。

リアム・ヘムズワースさんとテリーサ・パーマーさんのご共演。

舞台はモンタナ州カットバンク(Cut Bank)。病気の父親を介護する青年ドウェイン・マクラレン君は、恋人カサンドラとともに都会で暮らすことを夢に見る毎日、そんなある日、畑のど真ん中で可愛い恋人の動画を撮影していると、彼方の農道で銃による殺人事件が発生、生々しい銃撃の瞬間をビデオカメラに収めるのでありました。

しかし実はこの事件はすべて……云々、といったお話。「……」の部分は「ネタバレ」には該当しないと思いますが、念のため伏せておきます。

悩める青年ドウェイン・マクラレン君を演じるのはリアム・ヘムズワースさん、そして恋人カサンドラ・スティーリー役はテリーサ・パーマーさん、お二人ともオーストラリアのご出身でございます。

お若いお二人を脇で支える役者さん方が皆さま、非常に渋くて上手くて個性的で、本作最大の魅力は彼ら、いぶし銀のベテラン勢が魅せてくれる卓越した演技だと思います。いや、本当に凄い。

カサンドラの父親でドウェイン君のボス、会社経営者スタン・スティーリーを演じているのは、ビリー・ボブ・ソーントンさん。1996年『スリング・ブレイド』(Sling Blade)では監督・脚本・主演を務められ、アカデミー脚色賞に輝いた多才なお方、アンジェリーナ・ジョリーさんとご結婚されている時期もございました。

郵便配達人ジョージー・ウィッツ役はブルース・ダーンさん、「吐いた唾飲まんとけよ」なお調子者。

事件の解明に乗り出すヴォーゲル保安官を演じるのはジョン・マルコヴィッチさん、こちらは事件のたびに逐一、吐いちゃうカワイイおじさん。

そして、事件の真相に秒速で気付いた隠遁者ダービー・ミルトンはマイケル・スタールバーグさん、はい、もう完全にホラー・スリラーでございます。

さらにこの作品、もう一つ、看過できない貴重な見どころがございます。それは主人公の恋人カサンドラが、ミス・カットバンクの審査でご披露される"Ain't No Mountain High Enough"。

テリーサ・パーマーさんのお歌が絶妙に素人っぽく垢抜けせず、求められたギリギリのコースにズバッと決まったスローカーブといった印象でございます。

いろいろな映画作品で使われている名曲ですが、私自身は2008年『早熟のアイオワ』(The Poker House)のエンディングが強く印象に残っております。三姉妹役でご出演のジェニファー・ローレンスさん、ソフィア・ベアリーさん、そしてクロエ・グレース・モレッツさんが車の中で熱唱しておられました。
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