首塔えい

シークレット・アイズの首塔えいのネタバレレビュー・内容・結末

シークレット・アイズ(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」の
ハリウッドリメイク版。
犯罪者が正当に裁かれない流れを
どうアレンジするのかと思ったら、
911テロの時のアメリカを舞台にしていてなるほど。
最後は原作とはまた別方向に救いが生まれたな~ 。

原作で最初の容疑者特定するトコ
正直タダの勘でしかないやん?って感じだったのが、
今回のリメイクではそれも上手い具合に伏線になってたな。
これはリメイクのが整合性が取れてるかも。
ただ今作では犯人像に
漫画描くナード属性への蔑視が加わったのはちょっと…
取調室での煽りも原作のほうが
ジワジワと苛つかせるものがあったかも。
(リメイク版では金◯ボロンが直接映るカットは無し)

メイン3人みんな良い役者なんだけども、
全員あまりに顔が良すぎるせいか
10年以上の時間経過を撮るには
顔だけで時系列(過去/現在)を判別出来なかったな。
映像の交錯のさせ方もなんか雑だったし。
娘を失ったジュリア・ロバーツだけがショックで
著しく老け込んでしまうのがリアリティ高かったが
過去の時系列でも事件後から老けてるので
視覚的に分かりづらくなっていた。
いつにも増して壮絶な役柄なその演技は
3人の中でも一番凄みがあった。

スタジアムのシーンはリメイク版だと
客席に拡大していくトコまでで長回し終わっちゃった
のが残念。飛び降りて足グキッはリメイクのが痛そう。
原作での酒飲みな同僚ポジは出番少なくて草。
あのタイミングならお前は飛び降りる必要ないやろ!

国家規模の犠牲を防ぐテロ対策とはいえ、
そのためならたった一人の無関係な犠牲者の命など
後回しにされてしまう…というようなアイデアは
原作ともまた違った視点で鋭く面白いなあとは思った。
喪失の悲しみと復讐に取り憑かれる虚しさも、
どちらも表現出来てはいたし。

ただ、原作と国も歴史も違うぶん
登場人物の設定が根本から改変されてるから
大筋は同じでもほとんど別物のような仕上がり。
良くも悪くもアメリカらしいアレンジだなあという感触。

ラストの決着の付け方を見ると
ある意味、原作よりも重い内容になっている。
後味の苦さではリメイクのほうがシリアスかも。
ただ、あのルートに行ってしまったせいで
(サッカーから野球に変更したのはともかく)
原作の「人の情熱はそう簡単に変わらない」という
あの含みが活きなくなったのは気になった。
というかダブルヒロインに変えたぶん
主人公が微妙に軟派になっちゃったな…

どちらも甲乙つけがたいが
総合評価としては原作映画のほうが高いかな。
見比べてみても面白い点は多いので
「こっちは観なくていい」という事は無いかと。
首塔えい

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