豚

ヴィジットの豚のレビュー・感想・評価

ヴィジット(2015年製作の映画)
2.7
これまでまったく接点のなかった母の両親のもとを訪れた姉弟が、さまざまな恐怖に見舞われる様を描いたホラー。
この映画、まず超えなきゃいけない壁がふたつあって、「シャマラン映画」だということと、「全編ハンディカメラ」だということ。
ただでさえ色眼鏡で観がちなシャマラン映画なのに、その色眼鏡を倍増させるいわゆる"POV・モキュメンタリーホラー"ということで、終始モヤモヤしっ放しだった。

物語としては少しずつ漂ってくる違和感、日常に横たわる何気ない恐怖といったエッセンスでうまく味付けされており、ハンディカメラの影響もあってか臨場感や恐怖感はかなり高め。
ただ、正直に言えば"今更この時代にPOVやっちゃう?"という、いかにもシャマランらしいどうしようもなさを感じてしまって、何だかイマイチ乗れなかった。

シャマラン=どんでん返しみたいなパブリックイメージが付いてしまっていますが、個人的にはそちらの要素よりも、純然たるホラー・スリラーとしての質が高かった気がします。
ただ前述したようにPOV・モキュメンタリーはもはや手垢が付きまくってしまっているため、その観点からは語るべき部分が少ないです。
ジャケットのイメージからなんとなく「ヴィレッジ」的な雰囲気を期待してしまったせいで、肩透かしを食らってしまったのかも知れません。
ただ登場人物のキャラクター性はとても良く、とくに祖父・祖母というふたりに対し姉・妹という対比は非常に鮮やかだったように思います。

まさに恐怖と笑いは紙一重といった雰囲気で、怖がらせたいのか笑わせたいのかどんどん混乱してくる作品。
実は「スプリット」を観に行く前の予習として鑑賞したのだけれど、結果的に観るべきは別の作品だったという……。
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