紅孔雀

蜜のあわれの紅孔雀のレビュー・感想・評価

蜜のあわれ(2016年製作の映画)
4.0
室生犀星は明治以降の最高の文学者で、その最高傑作がこの映画の原作『蜜のあわれ』だという説があります(評論家・奥野健男の説)。つまり日本文学史上の最高峰(!)な訳で、いつかは読まねば、と思っていたところ、これをWowWowでやっていたので、いい機会と映画を先に鑑賞。主役の二階堂ふみがエロかわいい感じで、前から気になっていたこともあります。
観た後の率直な感想は、現在、本作を映画化するとしたら、最良の出来といっていいのでは、と思いました。ふみちゃんの真っ赤な金魚役がピッタリ、大杉漣も犀星というには好男子だが名演で、高良健吾の芥川が、皆さん言うように、ソックリだったのにも感心しました(なお、映画鑑賞後初めて読んだ原作には、芥川は出てきません。真木よう子の演じた幽霊は出てきますが)。
原作が、死へと傾斜する老作家(犀星、時に70歳)の生と性への渇仰が稀有の芸術作品に昇華した一編とすれば、この映画も、よくその雰囲気を伝え得たと思います。犀星自身、唯一、映画化を希望した作品だそうですが、本作を見れば以って冥するのでは、と思ったりしました。
なお他の俳優は替えが効きますが、ふみちゃんだけは別。唯一無二の金魚俳優だと断言したいデス!
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