親元離れニューヨークに来た娘と手紙くれくれお母さん。
娘が見る景色とともにナレーションという形で母親からの手紙が読まれる。
母親からの手紙無視し始めてからの無音が面白い。
相変わらずの長回しも流石、常に緊張感や緊迫感が伝わってきた。
カメラが映し出すただの日常。
路上、車、電車、さまざまな視点の日常。
日常を映す中で、カメラを睨みつけたりするおっさん、疲れ切った顔で電車に乗る男たち、昼間から酒瓶持って路上で立っている娼婦が居たりする。
ここにニューヨークに住む人々の物語があるのだろう。
地元を離れ見知らぬ土地へ来た時の疎外感、自分のことを心配してくれる鬱陶しい母親、将来への不安など、様々な要素を的確に表している殺伐としたニューヨークの街並み。
時間が経つにつれて、手紙を読む頻度は少なくなり、映される景色も静かな場所へと変わっていく。
ラスト、日常や物語があるマンハッタン島が、陸からどんどん離れていく船の上からの視点で映し出されるのにはなんともいえない悲しさを感じた。