エヴァンゲリオンの幕を下ろした作品。
まさにその為の作品であり、TV版、旧劇場版、新劇場版、3つのエヴァを補完した作品。
しかし、幕を下ろすことが作品の中心でありすぎるが故に、
大部分が前作までの経緯説明と補足に費やされ、物語の大枠は旧作の焼き直しでしかなかったのが残念だった。
それはそれで、受け手にとって優しい作品なのかもしれないけど、
新作の度に新しい驚きやアイデア、映像表現を見せてくれたシリーズだからこそ、予想もつかない新しい何かを最終作にも期待してしまった。
すでに盛りを過ぎたシリーズだったことを再確認させられて、少し寂しかった。
また、今作はCGのクオリティがあまり高くない。特に終盤。
国内最高峰の映像作品で表現できるCGがこのレベルというのは、日本のアニメCG業界の未来は暗い。
唯一、ゲンドウがシンジの中にユイを見つけるのは良かった。
本来、父親が当たり前に気づくことですら気づけないほど、膨らみすぎた自己愛が起こした悲劇の帰結として成長した息子との対話による補完という展開は、旧作当時の庵野秀明の精神状態ではたどり着けなかったと思う。
20余年、ありがとう。そして、さようならエヴァンゲリオン。