S子

シン・エヴァンゲリオン劇場版のS子のレビュー・感想・評価

5.0
このアニメにギリギリ10代の頃に出会っていて良かったと思う。

あの頃の葛藤や不甲斐なさや嫌悪感やでもそこに存在する変なプライドとか自己顕示欲とかを、テレビ版と旧劇版は隣に寄り添ってくれていた気がする。
時が経つと不思議なものでしんどかった気持ちがある日フッとなくなって、嗚呼これが大人というものかと勝手に認識した覚えがある。
そして新劇が始まり、大人になった自分は客観視しながら作品を楽しめていた。
このシンエヴァンゲリオンもそんな軽い気持ちで観た。
ほんとに今度こそ終わるんでしょうね?というむしろ上から目線くらいの勢い。
それがなんだ。
結局、この作品を見終わってようやく本当の意味で大人になれたような気持ちでいる。
映画を見る数時間前までは、解かれたと思っていたエヴァの呪縛に囚われたままだったのだ。見終わって初めて気づかされた。
シンジくんが向き合わなければならない問題はずっとわかっていたはずなのに、答え合わせができた瞬間呆気なくエヴァと過ごした日々がぐんっと過去に遠のいた青春そのものに変わった。

ありがとう。さようなら。
その言葉をただただ送りたい。

なんの感情かわからないまま涙がとめどなく溢れ出た間違いなく名作だったと思います。
S子

S子