AyaIKE

シン・エヴァンゲリオン劇場版のAyaIKEのレビュー・感想・評価

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いままで多くの人たちが多くの事柄や作品の最後に対して、一つの時代が終わった と言ってきた。それくらいありがちな言葉だけど、今回本当にそう思った。

全ての人たちが、全てのキャラクターたちが救われた。
全てのキャラクターたちに愛が示され、その苦しみや呪縛が解かれた。
なかでも、ある男の苦悩と孤独、そしてその救いが描かれているのが本当に素晴らしい。
ここが描かなければこの作品は完結しなかったはず。
全ての人たち、全てのキャラクターたち、全ての作品たち、全部に良かったなぁ そう思える作品だった。

もちろん、救われた人のうちには庵野監督も含まれるのではないか。
旧劇やテレビ版を引用したシーンからは、庵野監督自身が過去の自分への許しや、過去作への贖罪を果たせたように思う。
作中の贖罪とはそうすると決めた上での行動でなければ意味がないや、落とし前をつける、のようなセリフが印象的に使われていたのは、その証拠ではないだろうか。
それこそ、エヴァの呪縛から解放されたのは他ならない庵野監督自身だと思う。

テレビ版から26年。あのころの子どもたちは、この作品とともに育ったように思う。事実、僕自身も新劇・序が公開された年に大学生になった。それから14年。大学を卒業し いくばくか大人になったけれども、自分の中にはエヴァという未完が残されており、それはあの頃の子どもの自分が取り残されているのと同じだったように思う。
それがこの作品で全て完結し、その子どもはいま新たな一歩を踏み出した。

「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」
それは単なるセリフではなく、全ての作品、我々の中にある「エヴァンゲリオン」への感謝と別れの言葉なのだろう。
ただ、だからこそ我々は、彼らはエヴァのない世界で生きていけるのではないか。
なによりも、いままでともに生きてきたことを嬉しく思う。
AyaIKE

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