マクガフィン

シン・エヴァンゲリオン劇場版のマクガフィンのレビュー・感想・評価

3.4
良くも悪くも、勧善懲悪で個々に花道を飾らせる無難な纏め方は、どんなにCGアニメの進歩を経ても昭和を象徴するようにも。新劇場版4部作の第4作。TVアニメ・旧劇場版・新劇場版3作鑑賞済み。

引き立て役になる〈生〉のリレー形式、子を放置する親同志の対比と孤独な子の対比などの、大人と子供の在りよう。様々な人間と異種の生物の在りように、様々な思想の有りよう。生物に対するインフラ整備の在り方、世界・生・エネルギーなどの様々な「再生」のモチーフや多種多様な生物の畏敬を丁寧に積み重ねて、伝えたいことは理解できるが、今作を見終えて『エヴァ』シリーズとしてのカタルシスはあっても、新劇過去3作の出来事が喚起することが少ない出来栄えは、シリーズとしては如何なものか。

『S.W』同様な長年シリーズとしての難しさは如何ともし難く、『Q』での子供一人に責任を擦り付ける修正、ビンタなどの時代許容度の訂正をするためからか、「バトル+哲学論争」から「哲学論争」に落ち着くことなど、ブレも生じることに。TVアニメから何度も書き直したことが、年月を重ね過ぎて、決して上手く機能していない。主人公視点なのか群像劇としたいかのバランスのブレも。

それでも独自な世界観の中での、様々な〈再生〉と過去の〈回想〉と終劇としての〈カタルシス〉がマッチする妙。映像作品としては見所満載で、CGアニメの進歩も目を見張る。途中から参戦し、掘り起こしが甘いマリの立ち位置がやっと分かったと思ったら、マリが搔っ攫った感じが可笑しかったが、世界観を広げまくって収束不可能かと思えた『Q』から良く纏めたことに感心する。何でも一括りにするのではなく、TVアニメ・旧劇・新劇は別にして評価するべきでは。