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シン・エヴァンゲリオン劇場版のKのレビュー・感想・評価

3.0
理不尽な別れ話を聞かされたような気分。作品自体の評価が高いことも置いてけぼりの感情を強くしている。テレビアニメ版、旧劇場版、新劇場版は視聴済み。ピアノ線。田植え。レーション。おまじない。CG感の強さ。各登場人物の言動もメタ的な作りも、今さらながらまた同じことの繰り返しという印象。そしてよく喋る心情吐露。ゲンドウの印象は庵野さんの印象へとスライドした。もろもろの設定の違い込みで、自分は旧劇場版が好きだった。悪夢の中に光を見出すような魅力。本作の直接的すぎる着地にその余地はなかった。侵食。これで監督の想いが成就したのなら、それは心から本当に良かったと思う。後日密着ドキュメンタリーを見た。これは監督の心情が大いに反映された私的な物語だったのだと改めて感じた。時間と予算の関係で手抜きと言われる結果となったテレビアニメ版25話26話。批判的な意見を目にしていなければあれで全て終わっていたかもしれない。「面白いものを作ろうとするとエヴァっぽくなるからエヴァをもう一度作り直すことにした」。結果的にまたそれで苦しみ、伝わらないことに怯え傷つく。自縄自縛。誰かの枠を使った二次創作なら“終わったもの”だから楽なのだろうか。旧約聖書。ウルトラマン要素。無意味ゆえの考察。単純にうまくないのではという疑念。本人の言葉以外の解説に、意味も真実ももはや見出せそうにない。少年は神話となった。さらに後日、対談でオタク話を展開する庵野さんに出会う。なんだか心が楽になった。さよならエヴァンゲリオン…さよなら。
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