のぶ

シン・エヴァンゲリオン劇場版ののぶのレビュー・感想・評価

4.2
思えば、最初にエヴァンゲリオンを観たのは、中学生だったか。新劇場版エヴァンゲリオン『序』。部活の友人に誘われて、一緒に映画館へ行った。そのあとの『破』も、たしか彼らと一緒に観たはずだ。『Q』は受験で観られなかったから、そのあとに1人でDVDを借りた。自分は1年浪人したから、その分観るのも1年遅れた。

それから10年近く経ち、今作、『シン・エヴァンゲリオン』。その間に、自分も世の中も、大きく変わった。
10代だった自分も、アラサーと呼ばれる年齢になった。一緒にエヴァを観た友人も、それぞれの進路に進んで、もう立派な大人だ。たまの飲み会で話す内容も、今ではすっかり大人のそれだ。

それでも、どこか昔の感覚を引きずっている部分がある。
2010年の映画がもう10年以上前なのに驚くし、昔お気に入りだったアルバムは今でもお気に入りだ。古い友人に会う時には、当時の心持ちのままで会ってしまう。エヴァも相変わらず好きだし、物語の続きが気になる。

きっと、「エヴァの呪縛」にかかっているのだろう。永遠に14歳なのだ。シンジ君だけでなく、自分や他のエヴァ好きたち、そしてたぶん庵野監督も。
自分と周りの環境が変化していく中で、たしかにエヴァから離れていく気持ちもあった。
主人公が抱くナイーブな葛藤。セカイ系の自分勝手なストーリー。中学生的なエロ要素。そういったものに違和感を覚えながらも、それでもずっとエヴァを心待ちにしていた。エヴァがそれだけ魅力的で面白い作品だったからだ。

最後のエヴァである今作品、『シン・エヴァンゲリオン』。この作品が、「14歳の呪縛」をほどいてくれた。登場人物だけでなく、私たちの分まで。

呪縛はとけたけれど、こうやってエヴァが完結したからこそ、心から言える気がする。エヴァが好きだ。
自分が大人になるまでの、これまでの日々。エヴァやエヴァにまつわる想い出は、とても大事なものだった。

心から感謝している。
エヴァの物語を始めて、終わらせてくれた庵野監督に。エヴァを最初に教えてくれた部活の友人に。鮮やかとは言えない青春に。これまで経験した希望と絶望に。今の生活で、自分と一緒にいてくれる友人と恋人に。

そして、すべてのエヴァンゲリオンに。

ありがとう。
さようなら。
のぶ

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