くろいひと

シン・エヴァンゲリオン劇場版のくろいひとのレビュー・感想・評価

2.5

劇場版新シリーズの最終作にして(いまのところ)エヴァンゲリオンシリーズの完結編。

こころに傷をおった子供が社会のなかで承認され、おとなとして独り立ちするまでをえがく寓話、喪失と再生のものがたりにいちおうの終止符をうつ。
じつはそこには、戦争とそこから立ち直った終戦後の日本(それは宮崎駿的世界と言ってもいい)が重ねあわされていたことも見え隠れし、スケールを増す。

ただし、後半の個人的な精神世界のあまりに安易な映像化は噴飯ものだし、これまで解釈の開かれていたおおくの謎に陳腐な「解説」がごていねいに述べられるのには閉口する。
作品世界へのメタ言及的なアプローチも安易としか言いようがない。
それらはすべて、製作者側の「いいわけ」だといわれてもしかたのないものだろう。
この映画でいちばん救われたのは、まちがいなく庵野監督本人なのだからそれもしかたないことか。
くろいひと

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