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アンナの出会いのemuのレビュー・感想・評価

アンナの出会い(1978年製作の映画)
4.8
アンナから感じる孤独は何故かあたたかくてクリームのような淡い色をしている。
美しさと寂しさと、誰にも埋めることのできない、どうしようもない空虚、孤独の波。異国の地で様々な人と出会い語らい、触れ合ってもアンナは深く干渉しようとせず、ずっと聞き役に徹している。母との会話、横へ流れていく夜行列車からの景色、消した煙草、口ずさんだ歌、留守電の音声たち。旅路のなかで1人でいても人と触れ合っていても、心の穴は誰がどうやっても埋めてはくれないと彼女はすでに知っているのだと思った。人はみな本質的に孤独だと、目を背けず欺かずまっすぐ描いていたのがとても嬉しいし好きだ。そんなアンナをスクリーンで1人見つめる私もまた孤独なのだと実感して、でもそれが何故か心地よいのだと気づかせてくれる。この作品のことがたまらなく好き。
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