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ぼくの伯父さんのPeggyMYGのレビュー・感想・評価

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)
4.0
ジャック・タチを全然知らなかった。
60年も前にこんなに楽しくて素敵なフランス映画があったなんて。
知らなかったのがもったいない。

独り身で飄々と暮らすユロ氏が主人公。浮世離れした彼に妹夫婦は気を揉むが、甥っ子のジェラールはそんな伯父さんが大好き。

ジェラールの父親はプラスチック会社の社長で、その邸宅はオートメーション化された究極のモダン建築(利便性とオシャレを追求し過ぎて逆に住みづらいのが愉快。庭のサカナ型噴水はso cute!)。
ユロ氏が住む下町の変形雑居型集合住宅?との対比も効いている。こちらはプライベートが守られる気はしないけど、安心できる人付き合いがある。
どちらも楽しくて好き。

賑わう町の大通りの様子もいい。
全てが人と人との関わりのなかにある。ひとつの画面の中のあちこちでいろいろな人がそれぞれの動きをしているのも見ていて楽しい。(すごく細かいところまで丁寧に計算&演出されていそう。)
コロコロ走り回る犬、愛らしい。

特典映像の短編映画「郵便配達の学校」も合わせて観賞。こちらはセリフ多めだけどサイレント時代のスラップスティックコメディのような雰囲気。
自転車で走り回る映像はダイナミックで、タチの軽快なダンスも見られます。

海外の絵本みたいな雰囲気だなあ…と近くの図書館を調べてみたら…ありました。
「ぼくの伯父さんは、のんきな郵便屋さん」(作:J.タチ 絵:E.ラモット 訳:沼田元気 平凡社)絵柄はなんとなくカレル・チャペックぽい。良い。
タチ原案の「ぼくの伯父さんの休暇」(KTC中央出版)も一緒に借りてみた。
映画の後もお楽しみが続く贅沢。嬉しいなあ。
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