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ニーナ・シモン 魂の歌のBlueのレビュー・感想・評価

ニーナ・シモン 魂の歌(2015年製作の映画)
3.6
自伝も読んでいたのでそんなに目新しい情報はなかったけど、冒頭のニーナが観客をしばらく見る冷たい目線に一気に惹き込まれた。

社会に向かってメッセージソングを歌った代表格としてボブディランとニーナシモンが挙げられ、特にディランの影響は強く、ビートルズ、ストーンズ、ジミヘンドリックスなど音楽業界をひっくり返した存在がいるが、個人的にはニーナシモンの方が好きだし、再生回数はビートルズよりもストーンズよりもニーナシモンの方が多いのは確かだ。

ディランの歌詞は非常に難解な曲は難解でよくわからない曲の方が聴いてて多いけど、ニーナの曲はわかりやすい上にハッとさせられるフレーズがいくつもある。そしてあの低い声からくる深さ。

自伝を読んでいてニーナシモンは自分の事、周りの状況を的確に言っていて頭が良いなと思ったけど、実際にインタビューに答えている彼女を見てそれを裏付ける事になった。
ただ突き抜けた才能のある人がおちいりがちというか、何かに対する依存度の激しさにニーナシモンもまた犠牲になってしまっているところがやっぱり辛い。旦那は本当に最低だ。

過去の悲惨な黒人の歴史とレーニンや社会主義に少し傾倒して暴力止むなしという過激な思想と怒りを燃やして奈落の底の底まで落ちて自己喪失の中でも、見事に彼女がカムバックする。
その事を讃えたいし、やはり知っている分涙が出そうになった。
15年くらい前に喫茶店用のBGMを頼まれて作った。荒井由美のやさしさに包まれたなら、の次にニーナシモンのI wish i knew〜を流したら、黒人の品のある美しい女性が店長に連れられて俺の時に握手を求められありがとうと言われた。

不意で少し戸惑ったけどとても感激したのを憶えてる。
彼女の歌は今の時代にも響くし、よりその意味合いは強まっている気がします。ぜひ聴いて欲しいですね。

最後に自分が最も好きな曲を。こんなに美しい曲はこれから先も会う事はないと思います。

https://youtu.be/s7RoA-JI6Us
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