フォローしている監督さんが薦めておられ、その上劇中登場する狸の置物は最近交流させていただいている別の監督さんが自宅にいたのを貸し出したとのことで大阪公開楽日に見物に伺った。

主演の男の子が実は女性でダンスの名人だとか、友だち役のハーフの男の子が今はジャニーズのアイドルだとか、そもそも映画ができたのは2014年だとか。そんなこと何も知らずにお邪魔したら、男性客は私一人で、周囲はアイドルファンらしき妙齢のご婦人方ばっかり。

田舎で暮らしに行き詰まって、祖母が亡くなったのを契機に多摩ニュータウンに引っ越してくる家族の話。主人公は祖母の死を受け止められず、ちょっと不安定。

団地の５階で一人暮らしの老女を演じる「たぬきの化身」吉村実子が強烈。なんせ私ら世代には今村昌平や新藤兼人映画の人ですから。

ややもすれば、まとまりのつかないであろう勝手放題の子役たちを粘り強く引っ張って一本の映画に仕上げた監督さんの執念みたいなところにちょっとほろっとくる。

田舎で祖母が亡くなり、多摩ニュータウンでは半ば祖母を引き継いだ形で主人公の少年の祖母役を担った同居の老女が亡くなる。そこに子どもの成長を無理なく、押し付けがましくなく見せられていたように思う。

ただし、終盤挿入される野生の狸映像はいかがなものか。考え方は色々だろうけれど、やっぱり既成品を借りてくるというのは、私は賛成しません。

とまれ、一度は映画作りから離れかけたと仰る監督さんは、この映画を完成させ、時を経て近々２作目も完成とのこと。
引き続き誠実な映画作りが見られるのだと思う。期待しております。

急速に変わっていく町に取り残された人と、新しくやってきた人
子供たちとても自然で愛おしかった

記録