SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015、長編グランプリ作品。
キューバのハバナ旧市街、監督自身が生まれ育った場所であり、そして出演しているこどもたちが暮らすその街では、貧困の中で親に保護されるどころか、生活費を稼いだり酒やドラッグに溺れるおとなの面倒を見たりしているような状況があります。
時に問題行動を起こす生徒と見なされる彼らを支えようと奮闘するベテラン教師がいる一方で、決して悪意ではないにせよ杓子定規な判断でこどもを扱うおとなたちも。
何がこども自身のためになるのかは個別的結果的な側面があり、一人一人の状況を汲んでいられない、規則は規則という治安行政サイド的な考え方とはどうしてもぶつかるものです。
シビアな環境を描きながらも、そこで現れてくる衝突は私たちの日常に起こる葛藤とも共通するものがあるなぁ、と感じました。
何といってもこどもたちのエネルギー、大人びた表情と無邪気な愛情表現の二面性に胸を打たれる作品です。
また無責任だったり頼りなかったりするおとなたちを安直に断罪するのでなく、あくまでも与えられた状況の中でどうすればこどもたちがより良く生きられるかに主題を絞る、その視点の置き方、寄り添い方が印象に残りました。
「パレスチナ人」と呼ばれる親子は、ハバナの外から仕事を求めてやってきた不法労働者(住民登録なしにハバナで正規の労働は出来ないとのこと)を俗にそう呼ぶのだそうです。
これは解説がないとうっかり難民か亡命者かと思ってしまいそうなところでした。