MasahiroOhta

あまくない砂糖の話のMasahiroOhtaのレビュー・感想・評価

あまくない砂糖の話(2015年製作の映画)
4.0
去年観た「トゥルーコスト」やここ最近よく観ている金融系のフィクションおよびノンフィクション/ドキュメンタリーと構図的にとても近い作品だった。

具体的に言うと
「人間の欲は、それに気づいてしまうと果てしなく求めてしまうし、その欲を利用して搾取することで儲けるやつらと搾取される一方の人々がいる」
ということだ。

ある健康体のオーストラリアの俳優が、自分の子供が産まれるのを期に「これまで絶っていた砂糖を1日スプーン40配分摂ったらどうなるか?」を身をもって実験しよう…という試みは面白いし、そもそも「砂糖を絶っている被験者」ってそんなにいないだろうから、オリジナリティもある。
※でも冒頭のナレーションで「『精製された白砂糖』を摂っていない」ということを言ってたような気もするんだけど、違ったっけ?

被験者の体はどんどん見た目も中身の状態も悪化していき、砂糖の「悪さ」が際立っていく。
その過程で挟み込まれる識者のコメントも結構ショッキングなんだけど、それぞれが、様々な「スーパーで売られているようなパッケージ商品」の画に組み込まれて喋っているようなギミックで、堅い話にし過ぎず飽きさせない工夫もよかった。
以前観たインサイドジョブで明かされる「業界と御用学者」の関係は砂糖業界でも同様で、コカ・コーラなどの巨大企業がお金を出して有利な研究結果を発表させたり、ペプシが移動式歯科医院に資金援助を申し出たりするが、肝心の学校教育では砂糖の害を明らかにしようとしない。

劇中でも頻繁に出てくる「アディクト」という言葉が、砂糖の麻薬性をよく表現しているんだけど、作品に登場する人を見ていると、本当に砂糖入りのモノを食べたくなくなる。
来週に人間ドックを控えた自分には素晴らしい特効薬だった。
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