半兵衛

早すぎる、遅すぎる、の半兵衛のレビュー・感想・評価

早すぎる、遅すぎる、(1982年製作の映画)
4.0
フランスとエジプトで起きた過去の人民革命を現代の各国の映像とナレーションで表現するという一見テレビのドキュメンタリーみたいな内容なのに、卓越したカメラワークと農村や街を鮮やかに捉えた映像によりそれらとは一線を画したストローブ=ユイレならではの過去と現代が結び付いた豊かな映画世界になっている。

冒頭のパリを映すカメラワークが流麗すぎてそこから一気に映画の魅力に引き込まれる、このシーンだけでも世界の名作に匹敵する。

第一部のパリや第二部のエジプトの街並みとそれぞれ違った特徴をよく掴んでおり画としても面白いけれど、リズムがとてつもなく緩慢だしナレーションも途切れ途切れなのでいつしか眠気に襲われることに。実際映画を鑑賞していた人の半分はラリホー状態になっていた。でも観客に緩慢さを積極的に提示していくというのは凄いと思うし、それを許されるのはストローブ=ユイレとタルコフスキーとアンディ・ウォーホルぐらいでは。

そんな眠気に勝てなかった私でもがラストの切れ味のある編集で一気に目が覚めた、きっと監督はそれも計算していたんだろうなと思うとこういうのを本当の天才と言うんだろうなきっと。
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