EDDIE

ウォー・マシーン:戦争は話術だ!のEDDIEのレビュー・感想・評価

4.0
痛快戦争ブラックコメディ。戦争映画特有の派手な戦闘シーンはほぼ皆無だが、戦争とアメリカを皮肉る主人公を軸にした展開が面白い。「理想のリーダー像とは」を考えさせられる良作。

なんか全体的に評価高くないですけど、私はツボにハマりました。
ブラピの「プランBエンターテインメント」が世に輩出した作品ですが、確かに万人受けする映画ではありませんね。戦争映画ではありますが、邦題のサブタイトルにもある通り「話術」の巧みなグレン・マクマホンを軸に展開するブラックコメディです。この人物のモデルになったのは実在のアメリカ陸軍大将スタンリー・マクリスタルという人物。マイケル・ヘイスティングが“The Operators”というノンフィクション本も出版しており、これを原作にした映画のようです。

さて、本作の掴み所は、まさにアメリカという国を象徴するかのようなリーダー像とその代替性にあります。
ブラピ演じるグレンは話術が巧みで、部下からも慕われており、正義感も強い、困難な場面では自らが先頭に立って行動するという立派なリーダー。
ただこと戦争においては彼のようなカリスマ性あるリーダーであっても国に不利益な発言や行動があれば、まるで量産型ザクのように代替されてしまうんですね。
映画ではこんな立派な人物が実在したんだと伝記的に伝える力があります。一方で、数多いる世界中の人物、アメリカ国民に置き換えても、その中の1人でしかないんです。
メディアに不都合な発言を切り取られると突如としてジャーナリストや政治家、果ては国民にすら後ろ指を刺されかねないんです。そしたら切り捨てて同じような軍人をリーダーとして送り込むまで。

こんな皮肉じみた内容も凄く良かったんですけど、結構コメディとしても笑えるんですよね。
グレンがディックとテレビ会議してるシーンのアンディを呼び出して猿芝居するところは爆笑ものでした。それに応えるアンディも可愛すぎて。
ほかにもロボットみたいな無駄に鍛え抜かれた身体を晒しながら走るグレンもといブラピの姿もたまりません。
そして、ラストシーンのまさかの登場人物。まさにここが皮肉の真骨頂ではあるんですが、最高でした。

人によっては退屈と思える作品ですが、台詞の一つ一つとってもセンスを感じますし、とりあえずブラピ好きな方は是非観ていただきたいですね。

※2020年自宅鑑賞69本目
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