Ninico

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐのNinicoのレビュー・感想・評価

4.4
米文学の黄金期における敏腕編集者と天才作家トーマス・ウルフの物語。
フィッツジェラルドを担当した編集者の話と聞いて前々から観たかった作品だったが、期待以上の良作。
アメリカ文学とジャズの関係について論じたテキストはいくらでも読めるが、ジュード・ロウ演じるトーマス・ウルフがジャズクラブに編集者パーキンズを連行するシーンは秀逸。実に分かり易くその関係について温度まで的確に描写されるような簡潔でいて力のあるシーンだった。

個人的に一番好きなシーンは、パーキンズにリライトを命じられたトーマス・ウルフが、削除を重ねて考えあぐねた後、天啓を受けたかのように文言を語るシーンがとっても美しい。
アメリカ文学の瑞々しさの象徴とも言える表現が生まれる瞬間を一緒に見られたような臨場感がある。

天才作家の妻というのは(ゼルダ・フィッツジェラルドはじめ)往々にして構ってちゃんのメンヘラが多いようだがその辺りの要素も物語において良いスパイスとなっている。

とにかく丁寧に当時の空気や作家の気概、芸術家の人生について美しく映画に収めた作品。
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