Miyaz

ドント・ブリーズのMiyazのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)
4.0
正統派密室スリラーに変態を程よく効かせた、道徳無用の歪系ホラー。

盲目の退役軍人爺 vs 貧乏DQN盗人チーム
字面だけでは完全に爺ガンバ!!となるが、まあ予告編でもわかる通りこの映画の恐怖の対象は、悪魔やお化けや宇宙人では無く、盲目やけどメチャ強の爺。
DQN達がバチボコにお仕置きされるファニーな感じすら漂うけど、如何せんこの爺の強さ(しかも超能力等では無い有り得る強さであるところが◎)に対してDQN達が普通に弱いしドンくさいところが、恐怖に繋がっていく。
どちらにも感情移入できないにも関わらず、グイグイ引き込まれていくのは、空間の使い方の上手さ、集中力を切らせない演出、そして何より見えていないはずの爺の目線がこちら(観客側)とバッチーンと会った瞬間の緊張感の凄まじさ。
何度もご馳走様と言いたくなる程の満腹感を持たせて、90分を切る88分で描き切っているのは本当に凄い。

しかも、ここまでシンプルに見える「閉鎖された空間内での追うもの追われるもの」という古典的な手法の中で"お約束"も"マジか!?"も内包しつつ何層にも重なってストーリーが展開していく。
ちゃんと嫌悪感や歪さをもったホラーへと展開していく様は本当にお見事。
スポイトがあんなに怖くなるとは...そして、前の席のカップルの終演後の表情を見るのが楽しみで仕方がなかった!!笑

オチはもうちょっとイケた感が否めないけれど、十分「おいおいマジか...そうなるか...」という感はあるので楽しめると思う。

公開終了間際に観てしまった事が悔やまれる、まさに「映画館で観るべき映画」
普通に観てるこっちも何回か息止めてしまってた。
また映画館で観たい映画。
軽い気持ちでカップルや家族で見ると滅茶苦茶変な空気流れるので、嫌いな奴に「彼女と観るのにお勧めのホラーない??」って聞かれたら、間違いなくこれを薦める。
Miyaz

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