キンキン

クリーピー 偽りの隣人のキンキンのレビュー・感想・評価

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)
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 やっと黒沢清の面白さが分かった!前半の何気ないシーンなのに不気味な雰囲気を感じさせ、後半からあの家に監禁されたような恐怖。サスペンス映画と思っていたけど、「サスペリアPART2」のようにホラーとして作っていて、この映画をどう見せたいのかが隅々から感じ取れる!それでいて、「ちょ、お前話す時の距離近いな」と香川照之演じる西野が笑える、あの感じ。面白いなー。
 西野の家は確かに変だよ。でもあの感じが何故か西野って感じがするんだよね。「分からない」。それを逆手にイメージを植え付け、徐々に怖さを蓄積していく。肌ではなく、体毛だけを撫でるような。
 さっきまで人がいたかと思ったら急にいなくなったり、特に川口春奈が大学で聞き取り調査をするシーンは見事で、彼女が内面を語ることで次第にパンドラの匣を開けてしまっているような演出が素晴らしかった。んで、犯罪心理を研究する西島秀俊も加速してはこの人も怖く見えてくるんですよね。

 原作は未読。だけど、北九州監禁殺人事件を扱った内容ということで、先日「闇金ウシジマくん」の「洗脳くん」を読んでいたのもあって、西野が竹内結子演じる西島秀俊の妻に近づいては何をしたのかが浮かぶ。描いていないけど、竹内結子の化粧が濃ゆいというか、なんだか色気を振りまいているようにも見えて、「夫婦仲って元から悪かったんじゃないかな?」って。
 西野がもう最後まで気味悪くて、あの笑顔は勝ち逃げだ。崩壊した事を示す叫びに震えました。
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