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永い言い訳のpeachfizのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
3.8
ある家族たちとの生活によって、そこにいないはずの妻の姿が照らされ、幸せだったはずの日々が照らされる。最後の送られるかもしれなかったメールを見て、しかしそれは最後だからといって、アンハッピーだろうか。最後だからといって重要だろうか。幸夫は構築しなおしたのかも。発見した幸せが過去のことや過去のなかったことまで、あったはずのこととして照らしなおされたのかも。だから「なんでなっちゃんいないんだろう、幸夫君がせっかく来てるのに」の後の情景は、やっぱりほんとうの情景なんだと思う。今が過去を照らし、再構築されることで、そこになんでもなかったような幸せな日々が見えたのじゃないか。だからこのパッケージ写真がすべてのようにも思う。

「生きてりゃいろいろ思うよみんな。でもね、自分を大事に思ってくれてる人を簡単に手放しちゃいけない。離れるときは一瞬だ。」そして彼の誰かへの永い言い訳はこれからも続くのだ。永く永く。
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